春と僕とちいさな死神 #2

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1さよならさん2020/05/23(土) 19:36:24.431ID:ZHlL89lB0
前回はこちら↓
https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1590158438/l50

本日分の更新です。

実家は、湖脇の小さな旅館を経営していた。
その古びた趣のある建物の前で、僕はたたずんでいた。

「ここは…?」
「あなたの一番古い記憶の断片」

振り返ると、そこには、赤桐の姿があった。

「ずいぶんと素敵な場所に住んでいたんですね」
「……もう、かなり昔のことだよ」

そう。僕は、思い出すことすら忘れていた。
あまりに古くて、あまりに苦くて、そうして、記憶の底にあるものだ。

旅館入口横の青い屋根の犬小屋に、柴犬が一匹寝ている。

「ペット?」
「まぁ、そんなもんだよ

突然旅館の扉がガラガラと開く。中から、小柄な少年が出てきた。
不思議だったのは、彼の顔に、大きな、それこそそこだけ「抜け落ちた」ように
大きな穴がぽっかりと開いていることだった。

彼は僕らのほうを見た。一瞬、視線が合ったような気がした。
しかし、彼が僕らの方に駆け出すと、彼は僕と赤桐の肉体をすり抜けた。
手には大きな虫取り網を握り、麦わら帽子をかぶって、水筒をぶら下げている。

「おーい、待てよ!」

すぐに、別の小太りな少年が玄関から走り出す。こちらも、顔はすっぽりと抜け落ちている。
アニメキャラクターのシャツを着て、半袖半ズボンの元気な姿は、今の僕の現実から
ずっと遠い場所にあるような気がした。

「あの子たちのこと、覚えている?」
「いや、何も。もう、忘れてしまったことだ」
「そう。それは残念ね」

赤桐は何か含めたような言い方をした。
熱い夏の日だった。照り付ける太陽に焼かれて、足元の地面に反射した熱波が、ひりひりと
顔の下を焦がした。遠くのほうで、カッコウの声が聞こえた。
ただ、穏やかな夏の風景が、僕の記憶に刻まれていた記憶が、
何事もなく、ただテレビに映し出されたビデオのように再生されているように感じた。

2以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2020/05/23(土) 19:36:40.804ID:m6AdcuDed
おまんこ

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